mの掃き溜め

とくにテーマを定めず誰得なことをつらつら書いていくまでです。

初めて裁判を傍聴したお話

はじめまして。

今日は私の初裁判傍聴・ブログ初投稿の記念日であります。傍聴の記録は自分の中にとどめておくつもりでした。はじめは。誰得?わかりません。しかし自分のためだけなら後回しにしてしまうので、記憶の褪せないうちに人様に見ていただくつもりで書いてみます。読んでやるよ!という心優しい方がいらっしゃいましたらお付き合いください。

きっかけ

私は現在、来年のとある採用試験に向け予備校に通っています。授業内で講師が仰った言葉がきっかけとなりました。

「一度は裁判を傍聴するのも良いと思います」

前々から興味はありました。裁判に対してもだけど、人間の暗黒面や狂人の心理についても。しかし授業やバイトに追われ気づけば大学3年生。半ば焦りのようなものも感じていました。私の性質上、気になっていることをそのままにしておくのは許せません(2年弱放っておいた奴が言うな)。もう今しかない、大急ぎで裁判所のHPを見に行きました。

www.courts.go.jp

無知すぎた

裁判って、予定まで公開されているわけじゃないんですよね。開廷期日が知らされているのは裁判員裁判だけ。知りませんでした。その日に行われる裁判は当日裁判所に行ってみないと分からないとのこと。一か八かでいきなり行ってみるか、それとも予定の分かっている裁判員裁判に行くか…。今回は裁判の雰囲気をつかむため、刑事事件であれば何でも良いと思っていたのですが、傍聴ビギナーには難しい判断でした。

入念な予習

私は石橋を叩きすぎて割っちゃうレベルの心配性なので、初めての傍聴に臨むにあたり入念に準備をしました。傍聴体験ブログもたくさん読んだし、まさに傍聴がテーマのドラマも…。『傍聴マニア09 裁判長!ここは懲役4年でどうすか』課題そっちのけでAmazonプライムで全話イッキ観。

www.ytv.co.jp

そして肝心の傍聴する裁判の種類は、こちらのブログを参考に「裁判員裁判の判決」に決めました。審理も観たかったのですが、日程の都合であいにく判決だけ。

kame-reon.hatenablog.com

いざ傍聴

やっとここからが実際に傍聴したお話。傍聴人入り口から法廷に入ると、いまにも張り裂けそうな空気に包まれました。警察官に挟まれて入ってくる手錠をつけた被告。そのとき気づきましたが、人生で初めて手錠をつけられた人を生で見ました。なんだかなんとも言えない感情。しばらくすると、裁判員と裁判官が入ってきて開廷しました。傍聴人は20人ほど。大半は首からいわゆる社員証のようなものをつけた人たちで(仕事の一環?研修?)、残りは中年男性がちらほら(独断と偏見で言うなら玄人っぽい)。

「主文。被告を……処す。」

ついに!今回はこれが聞きたかったと言っても過言ではない、判決の宣告。(いや、野次馬根性とかでは決してないですよ?)今回傍聴したのは、強盗致死傷の被告を裁くものでありました。プライバシー保護のため具体的な判決を言うのは避けますが、判決が下されたとき真っ先に思ったのは予想より長い、ということでした。しかし、のちに裁判長がその判決に至った理由を述べたとき納得することになります。

先入観や固定観念、人を裁くということ

開廷し裁判長の前に座る被告は、異様に小さく弱々しく見えました。背を丸め、うなだれ、さぞ反省しているのだろうと思いました。だから判決が言い渡されたとき同情さえ覚えたのです。第1回の審理から傍聴していれば違う感情を抱いたかも知れません。一般人も事件の概要を知りうるような、テレビで報道されるような大事件でもなく、判決を聞いただけの赤の他人が抱く感情にすぎません。しかし、この事件の概要や判決理由を聞き、被告に対する自分の心証が180°変わったことに自分でも驚きました。裁判長曰く、被告は初犯ではなく複数回に渡り服役を重ねているとのこと。「なんだ、反省していないじゃん」「フツーに悪人じゃん」と安易に思ってしまった自分がいました。知らず知らずのうちにバイアスをかけて物事を見ているんだなあと。普段から見出しに挙げたようなものを持たないよう意識しているつもりですが、まだまだ未熟です。いやしかし、そういうものをすべて取っ払って人を裁く裁判官ってすごくないですか?でも冤罪という許されない問題も実際にあるわけで。難しいですね…。

裁判を傍聴するということ

たった一回の傍聴、それも判決部分しか見ていない人間がこれを語るのはおこがましい気もするのですが。傍聴ビギナーのフレッシュな感想()として残しておきます。これから傍聴経験を重ねたとき、今と比べて自分が何を思うか気になるので。

傍聴席から被告人の背中を見ていて、とても不思議な感じを覚えました。私は何を誰を見ているんだろう、この人は(傍聴席に居る人すべてが他人でじゃありませんが)20人近くの他人が自分が判決を言い渡される場面に立ち会っていることをどう思っているのだろう…。私は事件と何の関係もなく被告は赤の他人です。そんな赤の他人が判決を受けるという、その人の人生の一部に「自分の意志で」立ち会っている…。法廷を後にしてからもなんだかモヤモヤしていました。そういえば、先に述べた『傍聴マニア09(略)』でも、傍聴にハマった主人公が我に返り、無責任な立場から他人の人生を覗き見る「裁判傍聴」に懐疑的になるシーンがあります。良いとか悪いとかそういったレベルではなく、経験を重ねれば自分なりの意義を見いだせるのでしょうか。見いだせなかったとしたらそこで身を引けば良いだけのことですが…。

これから

そんなわけでもやもやしながら初めての傍聴を終えたわけですが、これで良かったと思っています。行かなきゃ分かりませんから。ほんのわずかな経験ですが、考えるべき課題をたくさんもらいました。大学と就活に追われる中どれだけ時間を捻出できるか分かりませんが、今後また傍聴しに行きたいと思っています。願わくば、1つの事件を第1回審理から判決まですべて見れますように。

 

最後まで読んでくださりありがとうございました。